全旅連青年部発足50周年という節目、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックのホスト国としての今期。業界全体の大きな飛躍の年となり得る可能性を秘めたこのタイミングでの青年部部長就任に際し、とてつもなく大きな責任を感じると同時に、その「やりがい」に対する高揚感を抱いております。
全旅連青年部に私が14年間出向し、ここで得た経験は何物にも代え難い貴重なものです。これまでの経験を活かし、業界のそして日本経済の明るい未来の一助となるよう精進する事を誓います。冒頭でも述べましたように、この2年間は日本の宿泊業界の未来にとって非常に大きな意味をもつ期間となります。常に高い意識を持ち、全国の青年部員1人1人の個性、能力を最大限に活かし、過去の青年部の成果と課題を今一度検証し、また多くの方のご意見等に耳を傾け、よりスピード感を持って活動して参りたいと考えております。
2019年は元号も変わり名実ともに時代の変遷を感じる年になります。日本を取り巻く多くの環境が過渡期を迎えております。しっかりと未来を見据え活動して参ります。
私が全旅連青年部へ初出向したのは平成17-18年の佐久間体制です。あれから7期14年もの間、連続出向する事が出来たのも、出会って来た先輩、仲間たち、協定商社の皆様、また留守を支えてくれる家族・社員に恵まれたからこそだと心より深く感謝しております。
20代の頃は先輩によく叱られました。マナー、言葉づかい、身だしなみ・・・・・。社会人として基本的な事をこの青年部で学ぶことが出来ました。仲間たちとは業界発展の為に熱い議論を交わしてきた事も良き思い出です。委員長として出向した井上体制では「若い世代に旅館ホテル業で働く楽しさ、価値を知っていただき、人材確保に努めたい」という想いから現在でも継続事業として行われている日本学生観光連盟とのインターンシップ事業を立ち上げました。全旅連青年部として初の試みであり、事業実施に至るまでに何度も常任理事会では多くのご意見またアドバイスを頂き、無事開催する事が出来ました。沖縄での全国大会では実行委員長を務めさせていただき、褒賞ではより良い形を模索し発表方法を変更させていただきました。これまでの14年間の全ての経験は多くの仲間に支えられたからこそ出来た実績です。
初出向時のある日、尊敬するある先輩にこう言われました。「子供の頃に出来る親友は無償の親友だ。大人になってから出来る真の親友とは少しの時間とお金が必要だ。」
この言葉が今でも深く心に残っています。全旅連青年部への出向の大きな意義はこれに尽きると私は思っています。近隣の同業者は仲間であると同時にビジネスにおいてはライバルです。しかし、全旅連青年部で出会う仲間は良き相談相手であり、真の心の友です。ここには現場を知った「有能且つ無料」のコンサルタントが多くいます。目的意識をしっかりと持ち出向していただければ無限の可能性がここにはあります。
志を同じくして夢を語り合い、切磋琢磨出来る親友と1人でも多く出会えるよう、皆様にもこの組織をフル活用していただきたいと切に願っております。
10年前、全旅連青年部で委員長を拝命した際に私がつけた委員会名は「宿の地位向上委員会」でした。当時の想いは今でも変わりません。業界の地位向上なくして、明るい未来はあり得ません。お客様にお喜びいただける施設は勿論のこと、宿で働く方々、関係する取引業者様、地域からの信頼を得てこその業界の地位向上です。「今、この瞬間」をより良くしなければ新しいお客様、新しい雇用は望めません。このような想いを全国の青年部員が一丸となって統一意思として持ち、日々努める事を理想に掲げます。
成功に至るまでには何度も挑戦し続けることが必要です。結果を見て正しくなければ修正する。「熟考」は言わずとも大切な事ですが、現代の超スピード型社会においては熟考している間に取り残されてしまうことも大いにあります。「まずはやってみる」の精神で「trial and error」を繰り返すことは将来必ず財産になると信じています。青年部世代らしく挑戦するハートを熱く持ち、何れにも取り組んで参ります。
我々青年部の位置付けは全旅連(親会)の下部組織です。我々もいずれは親会に所属します。これからの日本の宿泊業界を担う青年部と、現在まで長年に渡り活躍して来られた親会の皆様との相互理解、協力体制の強化に、今期は今まで以上に力を注いでいきます。ここ数年、世界は過去に類を見ないほど圧倒的なスピードで商環境が変わってきています。人の価値観、トレンドも然りです。親会の皆様の経験や知恵が無ければ成しえない事業、逆に青年部だからこその柔軟な発想で行うべき事業の分担をしっかりと行い、旅館ホテル業界の底上げ、観光業界全体の発展に寄与する活動を展開します。また、国の観光政策を前進させるにあたり、関係2団体の協力体制の強化は必要不可欠です。それぞれの団体の成り立ち及び存在意義をしっかりと理解した上で協働すべきは協働し、それぞれが個別で行うことにこそ価値がある事業は双方が深く理解し合った上で行っていく。今期は日本旅館協会各委員会と綿密に協議を行い連携して進めてまいります。
世界的なビッグイベントを、それも2年連続で我が国がホスト国として世界中の方々をお迎えした事が過去にあったでしょうか?100年に1度あるかのこのチャンス!!今の日本を世界にPRするまたとない絶好のチャンスです。日本人の「おもてなしの精神」、「心配り」、「独特の美意識」は世界より賞賛されてきました。訪日外国人観光客入国者数が予想を超えるスピードでの伸び率を示す昨今ですが、今後は「コミュニティーの中に外国の方が居て当たり前の社会」になっていくことが予想され、政府が掲げる2020年4,000万人、2030年6,000万人の訪日外国人観光客数目標も現実味を帯びて来ています。その入り口となるインバウンド元年が正に2020年になるのではないでしょうか。そのための準備をしっかりとするべく、以下の3点を重点的に行います。
①積極的な海外に対するプロモーション活動の実施
②国内の各関係機関との連携及び情報交換
③諸外国のホテル協会またはそれに類する団体との連携及び情報共有
GDP600兆円達成に向け、我々青年部による様々な観光施策を柱に据えた政策の考案及び提案が必要と考えます。従来通りの旅政連を通しての「陳情」という形以外に、より一層青年部らしい若い感性で独自の提案が出来るよう努めて行きたいと考えております。特に観光庁を始めとする関係省庁との情報共有、情報交換を活発に行い、また観光産業振興議員連盟の先生方へは業界団体の青年部だからこそ出来る積極的な政策提言を行って参ります。
ここ数年は毎年数社の新規協定商社様の入会があります。我々青年部だけの知恵ではどうにもならない問題、協定商社様のお力添えあってこそ成す事が出来る事業や勉強会なども多くあります。例えを上げますと、補助金の活用、共同購入、円滑な事業継承など多くの事が考えられます。協定商社様との「Win-Win」の関係を更に強化させるべく、協力関係を強めて参ります。
どの業種においても労働力不足が叫ばれる昨今において、他業種に負けない、人材確保・雇用の安定を業界挙げて行っていかなければなりません。そのためには、まず我々業界の労働環境、職場環境が他業種と比較した場合、「選ばれる環境になっているのか?」、「永い年月安心して快適に働ける環境か?」などの課題を私達がしっかりと把握し改善していく必要があります。いつまでも「臭いものには蓋をする」のではなく、これまでの悪弊を変える勇気を持ち率先して改革を行っていかなければ、業界自体が「労働力不足」を自ら招いていくという結果になりかねないと私は危惧しています。
西村体制においてスタートさせた「旅館ホテルおしごと.net」の運営強化と同時に、本年4月から始まる外国人労働者の技能実習制度や在留期間の延長などへ対し、親会と協力しオール全旅連で新しい制度の構築などに取り組みます。
ここ10年で若年層(20~34歳)との旅行実施率は約6%も減少したと結果が出ております。他の年齢層も一律に旅行実施率は減少傾向を辿っておりますが、その中でも「未来への投資」といった観点から若年層への旅行実施率向上を目的としたアプローチを強化する必要があると私は考えております。協定商社各社のお力添え、また関係各機関などのお力添えの元、重点的に旅の魅力発信事業に取り組みます。
過去7回の全国大会に携わってきたからこそ感じている事があります。今の全国大会の形は果たして現代の全国大会のあるべき姿になっているでしょうか?凄まじいスピードでの時代の変化に対し、我々の全国大会の形は適合しているのか、少し違和感を抱くところがあります。内容、動員、予算、実施時期・・・・・。全国の部員が積極的に参加でき、業界発展に繫がるよう、様々な角度から検証を重ね、次の10年20年に向け「現代の全国大会のあるべき姿」に相応しい大会を実施いたします。
何のために青年部活動を行うのか?その答えは1人1人青年部員によって違いがあって当然です。しかし、それぞれが突き詰めていくと1つの結論に辿り着くと信じています。それは「次代に繋ぐ為」ではないでしょうか。子供達の世代に自分たちが経営する旅館ホテルを、観光産業を、そしてこの国をより良い状態でバトンタッチする事が出来るよう、青年部員同士が夢を語り合いながら一歩ずつ確実に前進して行く事を目指します。これまでの出向経験、業界での活動実績を活かし、そして出会ってきた仲間、全国の部員の皆様、協定商社の皆様と共に全身全霊を賭して取り組んでいく所存です。
新たな50年の幕開けです。躊躇無く思い切ったスタートダッシュを切り、のちに、それぞれが「人生の中で最高の2年間だった!!」と心底から振り返れるよう、全力で共に駆け抜けましょう!!