2016年3月30日「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は訪日観光客による経済効果の目標を2020年に4000万人・消費額8兆円、2030年に6000万人・消費額15兆円としました。 2016年の段階では訪日観光客は2400万人強、外国人旅行消費額は約3兆7500億円、名目GDPは約540兆円となっていますが、政府は2020年には名目GDPの目標を600兆円としています。 インフレ率を考慮しないとすれば今後60兆円増やす内の4兆2500億円、つまり約7.1%を観光で伸ばす計算となります。 億や兆の話をしても実感は湧きませんが、「観光業が日本を救う」ということは強ち大げさではありません。 不安定な国際情勢が続く中、全く楽観視はできませんが、それでもやり遂げるべく取り組む必要がある目標だと考えます。
国内最大の宿泊産業のネットワークである全旅連。
その中でも将来を支える45歳以下で構成された青年部はまさに観光業の今後の担い手であり、日本を救う原動力となりうる存在です。
しかしながら我々の将来は決して明るいことばかりではありません。
言い尽くされた感もありますが、少子高齢化による社会保障費の増大、それによる可処分所得の減少は、恐らく私たちが想像している以上に大きな負の影響を与え、特に2025年より団塊の世代と言われる人口ボリュームゾーンが80歳を越えるころには、様々な社会を支える仕組みを望まなくても見直していかなければならない時代が来ると予想されます。
日本全体として厳しい将来予測がある中、地方においてはさらに深刻な状態です。
残念ながら現状維持の先には暗い先行きしか待っていません。
今まで当たり前に享受できたことはこれからも当たり前に享受できるとは限らず、ただ、そのことを憂うだけで何かが改善されるわけではなく、具体的なアクションを通して変革を起こさなければいけません。
そこで私は以下のスローガンを掲げ、活動を推進していきます。
これから私達や前世代が経験していない激動の時代に突入します。
今まで当たり前に享受できていたことが同じようにしていて享受できる時代ではないのです。
私達が大切にしてきたものは守りながら、それでも変えるべきことは勇気を持って変えていかなければなりません。
日本は世界有数の長寿企業が多い国ですが、これから世界のどの国も経験したことがないレベルで少子化・高齢化が進む中、今までと同じように家業や企業を継続していけるでしょうか。
次の世代にしっかりと繋いでいくことが私達の責任です。
今年度は主に以下の職務を担当する会議体を立ち上げ、目の前の課題解決、中長期の視点に立った取り組みを進めていきます。
まさに要と言える会議体。全体の運営を管理し、活動を発信します。
切磋琢磨することで次世代を担う経営者の育成を推進します。
青年部活動における会計管理や協定商社との連携による有益な情報の伝達、並びに新規参入業者の開拓を目指します。
全国大会に関する職務、頻発する自然災害への組織としての対応方法、組織力の向上や今後の全旅連青年部のあり方など広い視野で模索・検討します。
観光業は国の最重要業種の一つです。
観光政策立案に関与し、真に日本の将来にとって必要な政策が推進できるように取り組んで行きます。
労務に関する問題への取り組みは急務です。
正しい知識の伝達はもとより、外国人労働者の受け入れを効率よく行うことができるような制度の拡充は業界を上げて実現します。
生産性の向上は宿泊業にとって厳しく要求されている課題です。
ITソリューションを活用した生産性の向上を自らの手で成し遂げます。
業界を取り巻く流通環境は大きく変化しています。
国策としてのインバウンド推進に中心的な役割を果たすと共に既存の流通環境の改善にも力を注ぎます。
観光業への興味を喚起するプロモーションや学生組織との連携など将来を支える有能な人材確保への取り組みを行います。
私たちは国を救う重要な産業に携わっているという「自信と誇り」、私たち自身のみならず関わる人々全てを幸せにして、社会に活力を与えようとする「気概と覚悟」を持たなくてはいけません。
2020年には近年の日本の観光にとって間違いなくハイライトとなる東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。
それまでにやるべきことはやりきらなくてはいけません。
持続可能な国は私達が作るというぐらいの気持ちで、何事も他人事と捉えず、自分事として取り組み、情熱をもってやり切る、そんな姿勢を穿けば必ず未来は切り拓けます。
自ら変わり、世の中を変え、変わらない大切なものを守ってきましょう。