青年部長挨拶令和5・6年度部長 塚島 英太

令和5・6年度部長 塚島 英太

「温故知新」〜今こそ示せ!青年部の矜持を〜
“IMPOSSIBLE IS NOTHING”

我々は現在、未だかつて誰も経験した事の無い「不確実なニューノーマル」の世界において、観光宿泊産業の未来への舵取りを任せられています。新型コロナウイルス感染症は我々の日常を壊滅的状況まで破壊しました。この厳しい現状を打破し、コロナ以前の「夢・希望に溢れる業界」を取り戻す為に、責任世代として青年部は何を為すべきなのか?今、業界存続の岐路であると私は考えます。これまでの当たり前は消え去りました。新たな道の開拓が急務となります。まさに「観光再始動」と言えるこの時に全国部長を拝命するにあたり、私自身、気持ちは高揚しながらも、その責任の重さに身の引き締まる思いであります。

1969 年に設立され、53 年間もの長きに渡り業界を支え牽引してきた、全旅連青年部には「頼まれ事は試され事」「返事はイエスかハイか喜んで」「出来ない理由を言わない」と一見、非常に強引で時代遅れとも思われる言葉があります。しかし、その言葉の裏には「試練の先に必ず成長あり」「断るのでは無く寄り添い挑戦する事が重要である」「出来るまで助け合える仲間がいる」という優しさと、愛情の教えがあります。どんな困難な時代も、歴史を動かし、乗り越えてきたのは、この青年部の魂であります。私が果たすべき使命は、先人達から脈々と受け継がれて来た教えを現代に継承し、その矜持を自らが体現し、より良い形に変えていく事、しっかりと次代に紡いで行く事であります。

今日よりも明日の方が良くなる業界を目指し、観光の中心で咲誇る青年部でありたい地域を愛し、業界の未来を担う全国の仲間達と共に、刻一刻と変する激動の時代において、青年部の矜持を力強く示し、明るい地域日本の未来を夢描く。高い志と強い信念を持って、自ら成長の機を求め活動を展開して参ります。

我々青年部が観光立国・地方創生の再始動を牽引し、観光宿泊業の中心にて更なる飛躍を遂げられます様、私に与えられた全て時間を捧げ粉骨砕身、努力する事をここにお誓い申し上げます。

持続可能な青年部活動の構築〈先人達より託されたバトン〉〜 7 つの方針〜

我々は観光再始動に向け「アフターコロナ」という未知の世界で戦い、しっかりと生き残っていかなければなりません。その為に取組むべき課題は多岐にわたります。私は 7 つの基本方針を掲げ、喫緊の課題解決から 3 年後、4 年後を見据えた中長期の視点に立った青年部らしく果敢に挑戦できる組織運営を行なって参りたいと考えております。7 つの方針に合わせた本部各部会・委員会の設置を推し進めていきます。

『気付きと学び、研鑽の場』組織×個の力〈革新してこそ継承される魂〉

多様性が重要視される現代において、我々が観光再始動を推し進める為には、ダイバーシティは更なる重要性を持ちます。組織運営のあり方においても多様化する業務形態を見極める必要があると考えます。そこで戦略総務と言う新たな部会を立ち上げ、総会や常任理事会等の運営業務や管理統制などの支援をおこなう「縁の下の力持ち」から、業界が抱えている課題を解決すべく、各種業務の効率化や組織内の環境改善を「能動的」に提案し、組織全体の成長を継続的に支援していく総務部会の姿を目指します。

全国から個性的で優秀な人材が集まる青年部にとって、それぞれ個の力は勿論のこと、最大の強みは国内最大の宿泊団体として構築されたネットワーク「組織力」だと私は考えます。全国各地で毎月開催される常任理事会は意思決定の場のみならず、情報共有や方向性を確認する重要な機会であり、時間を共有し部員同士の深い繋がりを築き上げる貴重な場であると思います。今期からは各委員会・常任理事会メンバーに研修や発表の機会を必ず与え、参加する全ての仲間が多くの気付きや学びを得る研鑽の場としての「来て良かった、また来月も来たい」と思える様な会議運営を行い、開催地域の宿泊施設や青年部員も幅広く参加できるような開かれた会議体の構築を目指して参ります。

議案上程やそれに伴う会議体の勉強等も大変重要ではありますが、私は同業者の集いである全旅連青年部だからこそ出来る事、宿屋の集いでしか出来ない事にこだわった会議体の構築を行い、能動的な人財育成、組織強化を目標と定め、その組織力の最大化を実現して参ります。

「稼げる地域・産業の実現」〈経営力強化・宿泊産業の再生〉

観光庁の経営ガイドライン登録制度等からもわかる様に、愛する業界を守る為には業界の「経営力強化」は避けては通れません。我々経営者自身が率先して生産性・収益力の向上、従業員の待遇改善推進、滞在価値向上による消費額増加・再訪促進の実現、適切な事業計画の策定から各種データ・財務諸表等の活用と、まさに「経験と勘」の経営から「適切な分析と数字管理」の経営へと変革する事が求められております。

従来の借入金依存体質からの脱却、持続可能な企業経営や業種への転換を目標に、都道府県支部・全部員を対象に各種経営力向上のセミナー・勉強会を開催して参ります。業界が「働き方改革や生産性向上」を進める現在において、団体組織においても、部会等の役割や業務内容を積極的に改善し、時代の流れに適応させ、変えるべき所は積極的に変えて行きたいと考えます。

今期は財務部会に従来の財務管理業務や協定商社会との連携業務に加えて、先述のような各種勉強会を取り仕切る研修業務も付帯し、「守りの財務」から「攻めの財務」として活動を展開して参ります。地域を磨き上げ、お客様を呼込み、消費単価も拡大させ、地域に循環する「稼げる観光」のしくみを構築し宿泊産業の再生に取り組みます。また、『宿屋の知恵袋』と称して、個人の直面する「宿や地域の困った事」質問や回答のやり取りが秘匿性をもって気軽に行える、将来的にはエネルギーや備品等の共同購入が可能となるプラットフォームの構築にもチャレンジし、課題解決の最短且つ最善の道が、青年部という場所で在れる様、努めて参ります。

観光宿泊産業確立へ!組織強化と広報活動〈部員拡大と地位向上・ブランディング戦略〉

アフターコロナの日本経済において、地方が力強く立ち直り、成長と分配の好循環を実現する為には、地方創生の柱となる観光地の再生が不可欠であります。我々青年部は、その地域活性化の原動力として活動を展開して行かねばなりません。その為には青年部員の拡大事業と有効な情報発信、広報事業は避けては通れぬ重要戦略の一つであります。

半世紀以上の伝統と歴史のある全旅連青年部において、現在も私達が活動を行う事が出来るのは、業界の地位向上や明るい未来を信じた先人達が連綿とその志、青年部の矜持を継承され続けた結果であります。我々もこの矜持を自ら体現し、次代に繋ぐ責務を全うしなければなりません。全国の部員がその責任を自覚し、業界活動の意義や魅力を再認識出来る様な質的拡大事業と、年間の目標実数を定めた量的拡大との両輪にて、全国での拡大事業を展開して参ります。

また、観光宿泊産業の確立には、業界の地位向上や魅力の発信・社会からの支持共感等、様々な要因が必要ですが、広報活動はその全てに重要な役割を果たします。対内広報では問題点や課題を具体的に集約共有する事が可能となり地域課題の解決や業界の進化発展に大きく寄与します。対外広報では業界のイメージアップは勿論の事、政策課題の発信や各種風評被害等の社会問題の提言ど、宿泊業への認知度・興味関心を高め、地位向上に大きく関わり、業界のブランディングを可能とします。デジタル・ウェブマーケティングを導入し、新しい技術やツールを駆使して組織運営を行っていくと共に、観光宿産業確立への柱としてのブランディング戦略を推し進めて参ります。

宿泊産業の未来を創る政策活動〈宿泊 4 団体の政策実現部隊としての責任〉

近年、全国の皆様のお力添えのお陰を持ちまして中央での陳情活動には常時 100 名を超す有志が集います。そこに連携し47都道府県での支部への陳情活動なども活発に行われる様になりました。宿泊 4 団体の政策・要望活動の大部分を私たち青年部が担っており、我々が真の宿泊業界の政策実現部隊であり、数は力で、その実行力67部長 所信部長 所信の源は青年部であると確信をしております。それは同時に業界の『未来』を背負っているという大きな責任にも繋がるものであります。

47 都道府県部長の皆様と連携し、出向をしていない、まだ出会っていない各県の青年部員を含め、関係強化を図ります。そして誰一人取り残さない青年部活動を目指し、定期的に都道府県部長、部員の皆様との意見・情報交換の機会を設けることで、全国の青年部員にいち早く有益な情報が共有される体制を構築します。情報の『活用』方法についても、本部から各地域の青年部員に対して緊密にフォローできる体制も重ねて構築します。

全国の仲間達の声を然るべきタイミングで、確実に中央に届けていく、「相互のフォローアップ」体制をしっかりと確立させ、業界に山積する政治的課題の解決に向け、時流を見極め、プライオリティを付けながら、宿泊業界の政策実現部隊としての務めを果たして参ります。各関係省庁との連携も今まで以上に強化させ、全国の想いをしっかりと反映させた観光提言も行って参ります。また、観光業界という大きな枠のみならず、真に宿泊産業を応援してくれる地方議員・首長・国会議員の輩出を目標に、その支援活動も展開して行きたいと考えております。

次世代人材育成・雇用の安定と確保〈業界全体での労務対策構築〉

我が国の労働力人口は 2020 年を境に減少の一途を辿っており、直近の全国有効求人倍率も最高値では 1.94 倍と労働力不足の深刻化に歯止めが効かない厳しい現状が続いております。地方から都市部への若年層の人口流出、少子高齢化、人気業界・職種への偏りなど様々な要因がある中で、言わずもがな業界が成長産業として輝き続ける為には、その実務を担う観光人材・労働力の確保・生産性の向上が必要不可欠であります。

現在、青年部では「旅館・ホテルでおしごと .net」の導入や労務委員会による外国人労働者、特定技能・技能実習制度等の勉強会やマッチング事業、労働生産性向上の事例発表事業等を行っておりますが、今後選ばれる業界を実現する為には労働条件や職場環境の改善、業務フロー改善やテレワーク等の多様な働き方の導入等、新しい労務改善が業界全体に求められていると考えます。そんな業界内の喫緊の課題である、人材・労働力不足・生産性向上を根本から解決すべく新たな人材の確保や育成・雇用安定・業務効率化の再構築を目標に、外国人人材の更なる雇用促進や労働環境改善、労務改善全般を一部地域や施設だけではなく、親組合を含めた業界団体全体での対策構築に向け取り組んで参ります。

各種セミナーの開催や海外視察事業・現地での採用マッチング事業、試験センター業務への協力等も青年部が率先して行い、宿泊 4団体の中心的な役割を担うべく努めて参ります。

労働生産性の向上と強化、働き方改革を促進すると共に外国人材の受入環境整備を計画的に行い、業界の労務問題全般の解決に取り組みます。

流通と観光 DX のニューノーマル〈宿泊業における DX と SDGs の推進活用〉

コロナが収束し、デジタルネイティブと呼ばれる新たな世代が社会人として働く現代において、DX(デジタルトランスフォーメーション)は第一段階であるアナログからデジタルへの変化を終え、第二段階である産業や組織の変化へと推移し、最終段階であるビジネスモデルや消費パターン、いわゆる社会経済構造自体の変化にまで進化しました。

観光宿泊産業においても観光 DX の推進は急務であり、様々なIT ツールを活用して宿泊施設等の業務効率化を図ると共に、顧客満足度を向上させる取組が重要であります。

DX による市場・顧客分析や人流解析等が細分化され、DMP(デジタルマネジメントプラットフォーム)によるマーケティングの強化、PMS( ホテル管理システム ) による情報や管理の高度化等を中心とした「デジタル連携強化による地域全体での収益最大化」が観光の再始動や地域活性化には必要だと考えます。

そんな新たな時代において、継続可能な観光業を目指し、「直販」「リアル」「OTA」等の既存販路のバランスを分析研究すると共に、新たな販路研究や開拓も進めながら、需要回復後のインバウンド対策にも取組んで参ります。

SDGs が目指すべき社会は、「誰一人取り残さない社会」とされています。宿づくりとは、人づくり・地域づくりであります。地域に根ざし地産地消の裾野の広い商いを行っている我々だからこそ、旅をするだけで社会貢献となり、環境や文化、経済を守る事が可能となる社会、そんな好循環を生み出す無限の可能性を持っています。

我々が率先して SDGs に取り組み、新たな事業を構築する事で、宿泊者や地域の人々の共感を呼び起こし、業界の地位向上・集客・雇用の維持を図ります。大阪万博を見据え、SDGs を最も推進した青年団体と言われる様、私自らが先頭に立ち、持続可能な観光の可能性、誰一人取り残さない業界団体を目指して参ります。

団体の垣根を越え、想いを紡ぎ次代に繋ぐ〈今日よりも明日が良くなる業界を目指して〉

コロナ禍にて、会議はウェブに、外食はデリバリー、ライブや映画は動画配信サービス、ウィンドウショッピングはネットサーフィンへ、と変化しました。その全ては効率的で生産性が高く、サービス内容も素晴らしいものであります。しかし、その反面「いつ」「だれと」「どこで」まさに、我々の愛する旅や観光の真髄である「時の共有」いわゆる「リアル=人との繋がり」「文化体験」は残念ながら失われてしまいました。

私は青年部の最大の魅力の一つは、仲間と一緒に濃厚な時間を共有する事業活動にあると確信しております。観光再始動の本年において、今こそ全国の青年部が一丸となって業界の未来に向けた事業活事に取組むべき時であります。

一人でも多くの仲間が各地域にて同じ志、想いを持って活動する事で日本中の観光地の再生が加速し、ひいては地方創生の柱としての業界団体の価値を高め、観光宿泊産業の確立の一助となります。

オール観光宿泊産業にて業界の地位向上に繋がる事業「旅館甲子園」や「宿観光旅博覧会~宿フェス~」のような、旅館ホテルから宿を!地域を!日本を!を元気に出来る事業、新しい旅の形の提案や異業種との連携を行い、業種を超え「観光」を通じて地域や人を光り輝かせる、そんな持続可能な観光リーディング事業を展開したいと考えています。

全ては観光宿泊産業発展の為に!小さな組織の枠に捉われる事なく、青年部らしく柔軟に、親組合をはじめとした観光宿泊 4 団体との連携強化を図って参ります。

観光再始動には問題意識・当事者意識を共有し、迅速に対応してゆく事が最重要であります。特に親組合、本部事務局との連携には力を入れ足元から組織改革を推し進めて参ります。

【〜結びに〜】

全旅連青年部に出会い 15 年目の春を迎えました。これまで本部出向 7 期 14 年、楽しい事や苦しい事、悲しい事も悔しい事も、人生に必要な事は全て青年部に経験をさせて頂きました。4 人の偉大なる全国部長には副部長としてお仕えし、その輝く背中を間近で追いかけ、お支えさせて頂きました。

「たかが青年部、されど青年部」青年部がなかったら、今の自分は絶対になかった。」

これは私の大好きな青年部のフレーズのひとつです。この言葉の通り、世界中に数多くの青年団体がありますが、こんなに素晴らしい成長と研鑽の場を与えてくれ、己だけでなく会社や地域、人生をも豊かにしてくれる団体は間違いなく、全旅連青年部しか存在しないと私は確信しております。

青年部と業界を愛する気持ちは誰にも負けません。私に与えられた時間と力、その全てを捧げ、全世界に!この魅力を伝え、青年部と共に業界を更なる高みへ引き上げ、必ずや観光立国・地域創生の中心で光り輝く!観光宿泊産業を確立して参ります。

誰一人取り残さない青年部で!今日よりも明日が良くなる業界を!青年部は出来ない理由を言わない!まずはやってみよう!全国の仲間が必ず助けてくれるから!

皆様からの叱咤激励が、私の力の源であり、業界躍進の推進力となります。24 時間 365 日!何時でも皆様からのご連絡をお待ちしております。

これを読む 1 人でも多くの仲間が、当事者意識を持ち、業界を憂い、勇気をもって変えていく決断と行動を起こす事を信じております。

共に戦い抜きましょう!どうぞ、宜しくお願い致します。

塚島 英太

塚島 英太(長崎県)

第26代青年部長

※令和5年4月20日時点