青年部からのお知らせ

2023年08月31日 令和5年・6年度

陳情報告:全旅連青年部が観光庁長官に対し「宿泊観光産業に対する支援のお願い」を提出

 8月31日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(塚島英太 青年部長・略称:全旅連青年部)は会に所属する若手の宿泊施設経営者を代表し、同会の親組織である全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(井上善博 会長)と宿を経営する、女性経営者の会(髙橋美江 会長)と共に、観光庁 髙橋一郎 長官に対し、支援要望を提出した。
 
 全旅連青年部はこれまでにも観光産業の回復を目指した要望活動を展開してきた。水際措置の大幅緩和、さらには全国旅行支援も後押しとなり、インバウンドについてはまだ回復途上にあるものの、国内需要は対コロナ前と比較しても同等程度まで回復した。しかし、こういった需要回復も各都道府県、そして各地域を細かく見ていくと濃淡があるのも事実であり、我々の仲間の中には、まだまだ当面の資金のやりくりに苦難するような宿泊施設が数多くある。
 
 日本には、自然、食事、寺院・神社などの文化遺産など、様々な魅力が全国津々浦々にある中、世界でオンリーワンのヤド文化自体も、我が国のキラーコンテンツである。
 日本のヤド文化というのは、それ自体が、世界中の人々が憧れる、日本が世界に誇る最大の「ウリ」であり、先人の方々が作り上げたこの素晴らしい文化を、我々は将来世代に引き継いでいく責務がある。
 しかし、コロナ前からこの産業が低収益・低生産性・人手不足などの構造的な課題を多く抱えていたのも事実であり、今後はこうした課題を一つ一つ解決していくことが必要である。
 
 よりよい未来を創るためには、自助努力をすることが何より大切である一方、業界だけでは解決できない問題も多々ある。このような現状を受け、全旅連青年部が支援のお願いを観光庁長官に対して「宿泊産業が自ら稼げる産業に生まれ変わり、日本の基幹産業、そして地方創生の核となる」という決意と、強い思いを届けた。
 
【要望内容】
1. 宿泊観光産業の地位向上に向けた取組と発信
 多くの宿泊観光事業者は、コロナ禍の3年間で自信を失いつつあるとともに、また現在は、人手不足に苦しんでいる。現在宿泊観光産業に従事する方々や、これから就職を考える国内外の若い方々に宿泊産業で働くことの矜持を与えるためにも、我が産業に対して、国の方から「観光が我が国にとって大事である」、そして「宿泊産業が我が国の基幹産業である」という宿泊業の地位向上を目指したメッセージを力強く出していただきたい。
 
2. 人手不足対策について
 新型コロナウイルス感染症の影響も落ち着きをみせ、観光地の賑わいが報道されるなど、明るい話題も多くなる一方で、人手不足により稼働ができない客室があるために利益を確保できていない施設も多い。
 回復した宿泊需要を取りこぼすことなく、利益を最大化し、従業員の待遇改善につなげ、低収益、低生産性、人手不足等の宿泊産業が抱える構造的な課題を解消するためにも、人手不足の状況下でも高付加価値なサービスの提供が可能となるよう、清掃・配膳ロボットやスマートチェックイン機などの人手不足対策に資する設備への支援をお願いしたい。
 また、人手不足の解消に向けては、外国人材の積極的な活用も不可欠である。宿泊施設で働く外国人の希望者は多いが外国人雇用が進んでいない現状もあるので、特定技能試験や技能実習試験の円滑な業務の推進や宿泊業の魅力等の周知に係るPR活動について、国の支援をお願いしたい。
 加えて、「働き損がなければ働きたい」という従業員の方が全国の施設に多くいるが、いわゆる「年収の壁」によって、働くことが出来ない状況となっている。人材確保の観点からも、年収の壁問題の解決をお願いしたい。
 
3. 地域一体となった観光地・観光サービスの高付加価値化補助金の計画的・継続的な実施
 国内外の旅行者に求められていくのは、全国どこでも一緒の画一的な地域ではなく、個性あふれる魅力を持った持続可能な地域であることは、間違いないと考える。そのためにも、我々が地域の中心となって、
  ・地域固有の伝統・文化・価値等に基づく魅力を活かした街づくり
  ・そして、そうして出来上がった地域が持続可能な地域となるような仕組みづくり
をしていきたい。そのためにも、我々のこうした動きを高付加価値化事業で計画的・継続的に後押しして頂きたい。特に、まちづくりをしていくうえで、今後絶対に向き合わなければいけない課題は、各地域に残った廃屋の処分である。地域に廃屋が存在すると、残された事業者の努力だけではカバーできない負の効果が生じてしまう。廃屋の撤去をはじめとして、これ以上廃屋を生まない仕組みづくりを行っていくことが必要であり、このためには自治体、そして何より国の力が必要であるので、廃屋撤去を含む地域づくり支援を引き続きお願いしたい。
 
4. 持続可能な地域となるような事業再生の支援
 人口減少・少子高齢化の社会を迎え、さらには、消費者一人一人の嗜好が大きく変化する中では、我々宿泊産業もこうした時代の波に合わせた変革が必要であるという現実にも向き合わなければいけない。地域を守るために必要な、所有と経営の分離、事業継承・事業譲渡、事業再編等も一定必要になってくると考えるが、その際には、金融的視点による事業再生では絶対にいけないと考える。繰り返しになるが、我々は地域の文化を支える存在でもある。国の方には、まさにこうした、旅館をはじめとする我が国の宿泊産業の存在意義を深く理解して頂いた上で、そして、地域を持続可能な地域となるような事業再生の支援をお願いしたい。特に、9月末で期限を迎える新型コロナ対策資本性劣後ローンについては、引き続き延長をお願いしたい。
 
5. 省エネ設備等導入支援
 省エネ設備等導入支援事業は、原油価格・物価高騰に苦しむ宿泊・旅行業界にとっては、大変ありがたく、予算額を上回る応募がなされるなど人気の事業となっている。未だ原油価格・物価が高止まりしている状況にあるため、省エネ設備等の導入について引き続きの支援をお願いしたい。
 また、個別の宿泊施設のバリアフリー化等の前向き投資に対する支援をお願いしたい。
 
6. 価格転嫁の取り組みに対する支援
 原油価格・物価高騰に苦しむ全国の宿泊施設は、値上げを行い適切な価格負担をお客様にお願いをしなければならないが、価格転嫁については、お客様の理解を得られにくく、中々価格転嫁に踏み出せない事業者が多い。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会は、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づいて設立されている唯一の宿泊団体であり、業界の代表として、価格転嫁の理解を国民に得られるよう活動していくので、引き続き、生活衛生関係営業活性化支援事業の継続をお願いしたい。
 
 
【全旅連青年部 公式ページ】
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