青年部からのお知らせ

2024年04月21日 令和5年・6年度

全旅連青年部が自民党の国会議員に対し「宿泊観光産業に対する支援のお願い」を提出

4月18日(木)、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(塚島英太 青年部長・略称:全旅連青年部)に所属する宿の若手経営者約130名が、東京の議員会館に集結し、自由民主党衆参両院の国会議員に対し支援要望を提出した。

本年元日に生じた能登半島地震に対する復旧・復興支援対策をはじめ、人手不足対策や価格転嫁の取り組みに対する支援など、各地で抱える課題について強く訴えた。インバウンドの回復など、観光が日本の基幹産業となり、経済の切り札になっていく為にも、ひとつひとつの課題を解決していく必要がある。
このような現状を受け、自民党衆参両院の議員に対して全旅連青年部が支援の要望を伝え、「自らが地域の核となり、責任世代として宿泊観光産業をけん引していく」という決意と、強い思いを届けた。
全旅連青年部はこれまでにも観光産業の回復を目指した要望活動を展開している。

【要望内容】

1. 宿泊観光産業の地位向上に向けた取組と発信
多くの宿泊観光事業者は、コロナ禍の3年間で自信を失いつつあるとともに、また現在は、
人手不足に苦しんでいる。現在宿泊観光産業に従事する方々や、これから就職を考える国内外の若い方々に宿泊産業で働くことの矜持を与えるためにも、我が産業に対して、国の方から「観光が我が国にとって大事である」、そして「宿泊産業が我が国の基幹産業である」という宿泊業の地位向上を目指したメッセージを力強く出していただきたい。

2. 能登半島地震の対応について
本年元旦に生じた能登半島地震は地域に大きな被害を与え、生活インフラを中心として徐々に復旧・復興が進みつつあるが、いまだに数多くの住民が避難生活を送り、また、宿泊観光事業者をはじめとした事業者の多くが、なりわいの復興の道筋さえつけられない状況にある。しかしながら、徐々に能登半島地震に対する世間の関心が薄れつつあるのも現実であり、国会議員、政府の皆様におかれては、能登半島地震を風化させることなく、地域全体の復旧・復興を引き続きご支援いただきたい。
また、落ち込んだ需要を取り戻すことを目的として、速やかに「北陸応援割」を実施していただいたことについて御礼を申し上げるとともに、一方で、今回の措置の対象外となっている能登地域については、復興状況を見つつ、より手厚い旅行需要喚起策を検討お願いしたい。

3. 人手不足対策について
新型コロナウイルス感染症の影響も落ち着きをみせ、観光地の賑わいが報道されるなど、明るい話題も多くなる一方で、人手不足により稼働ができない客室があるために利益を確保できていない施設も多い。
回復した宿泊需要を取りこぼすことなく、利益を最大化し、従業員の待遇改善につなげ、低収益、低生産性、人手不足等の宿泊産業が抱える構造的な課題を解消するためにも、国の支援をお願いしたい。
特に、人手不足の解消に向けては、外国人材の積極的な活用も不可欠である。宿泊施設で働く外国人の希望者は多いが外国人雇用が進んでいない現状もあるため、マッチングイベントやジョブフェア、宿泊業の魅力等の周知に係る PR 活動について、国の支援をお願いしたい。

4. 地域一体となった観光地・観光サービスの高付加価値化補助金の計画的・継続的な実施
令和 3 年度、4 年度、そして 5 年度、6 年度と予算化して頂いた高付加価値化事業であるが、この事業があったからこそコロナ禍の苦境を何とか耐え忍ぶことができたとともに、インバウンドの V 字回復を成し遂げられたものと考えており、まずはこの事業の制度設計に尽力いただいた国会議員の先生方、そして観光庁、財務省をはじめとする政府関係者に心から御礼を申し上げたい。
一方で、地域の現状に目を向けると、お祭り、伝統芸能、歴史的建造物や街並みなど、これまで大切に継承してきた地域固有の価値がどんどん失われていくとともに、廃屋となった建物が増えていくなど、地域の衰退に歯止めがかからない状況となっている。かつては温泉街と言われ栄えた地域も、今や数軒の旅館を残すのみで、他の飲食店は、そのほとんどがシャッターを下ろしてしまっているような場合も珍しくない。令和 5 年 3 月 31 日に閣議決定された観光立国推進計画にあるように、地方へのより多くの誘客を実現し、また、それにより持続可能な地域を作り上げていくためには、地域の面的な再生・高付加価値化は待ったなしである。こうした中、我が国の宿泊施設は、その建築、設え、食事等において経済的に地域内の他産業との結びつきが強いだけでなく、地域固有の伝統・文化等のエッセンスが宿泊施設のいたるところに根付くなど、宿泊施設はまさに「地域のショーケース」と言える存在であり、宿泊施設の価値を高めることは、結果として、地域の価値を高めることに他ならない。ついては、以下要望する。

1.令和4年度補正予算に盛り込まれた国庫債務負担行為 500 億円のうち未だ歳出化されていない 300 億円について、速やかな歳出化及び執行を行っていただきたい。

2.また、地域の面的な再生・高付加価値化のためには、宿泊施設だけでなく、地域の飲食店、伝統産業工房、その他の観光施設の高付加価値化も必要不可欠であり、こうした施設の改修も補助対象とされたい。

3.地域の価値を最も棄損しているのは廃屋であるが、廃屋の撤去については、10 億円を超えるような費用がかかる場合が多いとともに、民間金融機関からの借り入れも困難な場合が多く、廃屋撤去について引き続きのご支援をお願いしたい。

5.持続可能な地域となるような事業再生の支援
宿泊業界は、3 年にわたるコロナ禍において人流が抑制されたこと、また、感染症の拡大等が発生する中で宿泊療養施設としての機能を担うことなどにより休業することもできない状況のもと、施設維持管理の必要から過大な有利子負債を抱えるなど、過重債務問題の対応に追われている。今後、債務返済が滞り、経営に行き詰まる事業者も出てくる可能性が高い。
また、人口減少・少子高齢化の社会を迎え、さらには、消費者一人一人の嗜好が大きく変化する中では、我々宿泊産業もこうした時代の波に合わせた変革が必要であるという現実にも向き合わなければいけない。
こうした状況も踏まえ、地域を守るために必要な、所有と経営の分離、事業継承・事業譲渡、事業再編等、事業再生を進めるための支援をお願いしたい。
その際には、金融的視点だけの事業再生では絶対にいけないと考える。繰り返しになるが、我々は地域の文化を支える存在でもある。国の方には、まさにこうした、旅館をはじめとする我が国の宿泊産業の存在意義を深く理解して頂いた上で、そして、地域を持続可能な地域となるような事業再生の支援をお願いしたい。

6.修学旅行を受け入れる宿泊施設への配慮のお願い
修学旅行の目的地となる地域においては、学校教育に協力するという観点から、より単価の高い国内外の観光需要を断り、あえて、修学旅行生のために部屋を確保している宿泊施設が多数存在する。
しかしながら、こうした宿泊施設においては、修学旅行が通例 2~3 年前に旅行会社を通じて学校側と契約し一人当たり単価を設定する商慣習となっていることもあり、昨今の物価高により、修学旅行を受け入れれば受け入れるほど経営が悪化してしまうケースが生じている。
岸田政権においても、こども・子育て政策が一丁目一番地となっており、宿泊業界としても、こども・子育てには欠かすことのできない修学旅行の受け入れには今後とも積極的に協力していきたい。
このため、宿泊施設において現在の宿泊単価での受入に向けた単価の見直しが可能となるような仕組みとしていただきたく、そのためにも、単価の見直しによる修学旅行代の増加により過大な保護者負担が発生することとならないよう修学旅行に対する適切な支援をお願いしたい。

7.価格転嫁の取り組みに対する支援
原油価格・物価高騰に苦しむ全国の宿泊施設は、値上げを行い適切な価格負担をお客様にお願いをしなければならないが、価格転嫁については、お客様の理解を得られにくく、中々価格転嫁に踏み出せない事業者が多い。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会は、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づいて設立されている唯一の全国宿泊団体であり、業界の代表として、価格転嫁の理解を国民に得られるよう活動していくので、引き続き、当初予算に加えて、補正予算が組まれる場合においても、生活衛生関係営業活性化支援事業の継続をお願いしたい。

8.温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録への支援のお願い
2024 年の成長戦略及び経済財政運営と改革の基本方針に、「温泉文化のユネスコ無形文化遺産の 2028 年登録を目指す」との文言を盛り込んでいただくようお力添えいただきたい。
また、温泉文化を次代へと守り伝えていくため、温泉の文化的な価値を広く発信し、温泉地の活性化・観光振興に取り組んでいただきたい。

【全旅連青年部 公式ページ】
◆ ホームページ
http://ajra.jp
◆ Youtube
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◆ Twitter
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